初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
14.君じゃなきゃ、ありえない



「小人の衣装できた!?」

「後もうちょっと!大道具は?」

「とりあえず完成!」




着々と文化祭の準備も進み、残すところの準備期間は、授業なしで1日準備にあてられるこの2日だけ。

劇の練習も、衣装や大道具作りも佳境に入り、みんな忙しいながらも楽しそうに自分の仕事をしている。




…あれから2週間近くが経つけれど、絢星くんとは喋っていない。


もともと文化祭の準備が忙しくて、2人になろうと思わなければなれなかった状況で、気まずくなってしまったから。


授業中は隣にいたけれど、授業中だから喋らないし。

1日準備日の期間になってからは、席につかないから、隣にいることすらなくなった。



こうやって、少しずつ慣れていくのかな。

絢星くんのいない日常は、付き合う前は当たり前だったのに。


一度知って仕舞えば、失うのがこんなにも惜しいなんて。





「絢星、どう?」

「うん」

「うん、って何よ」

「似合ってるんじゃない」




白雪姫の衣装を着ている冬花さんを褒める絢星くん。



…いいなあって、思わないわけじゃないけど。

いや、めちゃくちゃ思ってるけど。


どんどん仲良くなっていくように見える2人に、絢星くんは私と別れて冬花さんと付き合い始めたって噂が流れるくらいで。



正直私も、あれが別れようって意味だったのかどうかはよくわからない。


でも状況からして、私たちはもう付き合ってない、よね。





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