初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
行かないでって、言えなかったあの日。
好きだって、言えなかったあの日。
消化不良のまま終わってしまったらしい私の初恋は、時間が経つにつれ痛みを増すばかりだ。
だから正直、忙しくて助かってる。
絢星くんのこと、考えずに済むから。
「北山さん、ここ縫っといてくれる?」
「はい!」
「夕陽ちゃんー、ここってどうやるの?」
「あ、そこはね…」
裁縫が少し得意だったおかげで、みんなの役にも立てて嬉しかったり。
「ちょっと飲み物買ってくるね」
「いってらっしゃーい」
お財布を持って自販機に行くと、ちょうどお茶を買っていた絢星くんに会ってしまった。