初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。





「…南雲くん、どうして私と付き合ってくれたんだろう」





やっぱり、疑問はそこだった。

わかってる。



周りに聞かれて面倒になったから。

たまたま隣に私がいたから。

私が好きな人だって答えたら、頷いてしまったから。



だから仕方なく、付き合ってくれたんでしょう?




…だけど、でも。




どうしたって期待してしまう自分がいるんだ。



私のことが、好きなんじゃないかって。


始まりはそうだったとしても、徐々に好きになってくれたりしたんじゃないかって。



だって私が見た南雲くんは、クールだけど優しくて、大人なのに意外と意地悪で。


けっこう、よく笑う。



周りのことちゃんと見てて、私のこと大切にしてくれた。


そんな人が、そんな適当なことするのかなって。



そんな風に、都合よく考えてしまう。






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