初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「…夕陽がやればいいじゃん」
そんな中、口を開いたのは南雲くんだった。
「…え?」
「セリフ全部覚えてるでしょ、夕陽」
驚く私に、「本当!?」「やってくれる!?」と期待の目を向けるクラスのみんな。
流されやすい私が、それを断れるはずなんてなくて。
「が、頑張ります…!」
せっかく頑張ってきた文化祭だ。
私だってこのままやめるなんて嫌だ。
…南雲くんが王子様だっていうのが、緊張するけど。
南雲くんは嫌じゃないのかな。
相手役が私でいいのかな。
さっき前向きになろうと決めたのに、いざ南雲くんを前にすると苦しくなる。