初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
横になって目を閉じる私に近付く、南雲くんの気配。
『…なんて美しい姫だ』
そのセリフ、私が言われるなんて思ってなかった。
私に覆いかぶさって、眉を下げて、なぜか切なそうな表情をする南雲くん。
久しぶりに正面から見た南雲くんの顔に、思わず泣きそうになった。
そのまま、そっと私の頬を撫でる。
…こんなシーン、あったっけ?
まるで壊れ物を扱うみたいな優しい手つきに、痛いくらい胸がキュンと締め付ける。
だめだよ、やめて。
こんなのどうしたって、期待してしまう。