初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「だってそもそも、私のこと好きになる理由がない…」
だって喋ったこともなかった。
クールなところが怖くて、目すら合わせられなかった。
それなのに私を好きになる理由が、ない。
「…あるよ、好きになる理由」
そんなこと言う南雲くんが、いつになく真剣な顔をするから。
心の奥がじわりと温かくなる気がした。
「部活で帰りが遅くなった時とか、いつも保健室で委員の仕事してるの、見てた」
「え…」
「嫌な顔しないで楽しそうにしてるの、すごいなと思ってた」
いつも口数の少ない南雲くんが、こんなに喋ってくれてる。
私のこと見ててくれてたなんて、知らなかった。