初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
それでもやっぱり気になって、もう一度左を見ようとしている私は、馬鹿なんだろう。
ちら、と見ると、今度はほぼ同時に合った目。
同じタイミングで、こっち向いた。
絶対、前見てると思ったのに…!
目が合うにはまだ心の準備ができていなくて。
慌てながらも、さっきと同じ間違いだけはしないぞ、と逸らしたくなる顔を必死に堪えた。
…どうしよう。
ほんの1秒とか、2秒とか、きっとそのくらいだと思う。
それだけの時間がどうしようもなく長いようで、短いようで。
どうしていいかわからずに、へらりと笑ってしまった。
ああもう、微笑むとかならまだしも、何この情けない笑みは…。
2番目にやってはいけない例かもしれない、と自分の表情筋を呪う。
と。
南雲くんが微かに笑ってくれた…ような気がした。
ううん、気のせいじゃないよね?
わずかに上がった口角と少しだけ細くなった目に、確信を覚える。