初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。





「…南雲くん」


「…絢星って、呼んでよ」


「あ…」



あの日から、呼び方が「南雲くん」に戻ってしまったのが実はかなり辛かったなんて。

そんなこと、カッコ悪いから言えないけど。




「絢星くん、すき」




とろけるように笑うその表情に胸が締め付けたのがわかった。




「あーもう…




俺のほうが好きだし」






夕陽が思ってるよりも、ずっと。

きっと自分で自覚しているよりもずっと。



俺は夕陽のことが好きなんだと思う。





「…俺たち、言葉足りなすぎたね」


「そうだね…」



「…じゃあ、今は思ってること全部言おうかな」



「え…」



「泣いてる顔も、かわいい」



「あ、絢星くん…?」



「俺のこと泣くほど好きになってくれたの、嬉しい」


「ちょ…」


「ずっと、抱きしめたかった」


「やめ…」



「もう離れないでよ」




どんどん真っ赤になる顔が。

潤んだ上目遣いが。

弱々しく俺の服の裾をつかむ手が。



どうしたって可愛いから、意地悪したくなるのも仕方ないと思う。





< 236 / 247 >

この作品をシェア

pagetop