初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「北山さん」
答えに迷っていると、いつもより鋭い南雲くんの声に救われた。
「は、はいっ」
「…見る?」
そう言って天体望遠鏡を指す南雲くんに、いいの?と思わず笑顔になる。
レンズをゆっくり覗き込むと、目に飛び込んできたのは、暗闇に明るく光る星。
「夏の大三角」
天体に詳しくない私でも聞いたことのある名前に、へえ、と声が漏れる。
よく見れば、たしかに星が三角形になっているような、いないような…。
「織姫と…彦星のやつ、だっけ…?」
間違えたら怒られそう。
そんな勝手な想像で恐る恐る聞いてみると、思いがけない優しい表情の南雲くんがそこにいた。
「そう。アルタイルとベガ」
そう言われて、もう一度レンズを覗いてみる。