初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。



「どの星?」





望遠鏡から目を離し、私の方を振り向く南雲くんと目が合って。


近すぎる距離に慣れていない私は、すぐに目を逸らしてしまった。





「さ、三角形の…っ」





びっくりして、頭が真っ白で、でも頬はすごく熱い。


緊張してうまく喋れない私の言葉を、南雲くんは何も言わずに待ってくれる。






「1番、上の星…」






「ああ、1番上は琴座のベガだよ」





サラリと答える南雲くんは、全然緊張なんかしていなさそうだ。


意識してるのは私だけなんだなぁ、と改めて実感させられる。






「そう、なんだ…ありがとう」






キラキラ光る星たちは、南雲くんの瞳にどう映っているんだろう。


私が見る星空とは、違うように映っているんだろうか。







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