初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「帰るよ」
「あ、はいっ…」
私も慌ててバッグを肩にかけて、屋上のドアを開ける南雲くんの後を追う。
ドアが閉まると、天文部のみんなの楽しそうな声が少し遠くに聞こえる。
瞬間、ふたりきりだっていう事実が急に私の脳内を支配して、顔が熱くて。
ドキドキ緊張する、この胸の音まで聞こえちゃうんじゃないかってくらい静かになった階段を、俯きながら降りる。
南雲くんは相変わらず、私の少し前を歩く。
息をするのすら緊張して、苦しくて。
でも、何か温かくて。
どうしよう…。