初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「…急に呼んでごめんね」
沈黙を破ったのは、やっぱり南雲くん。
「え…」
「夜遅くまで、大丈夫だった?」
天体観測会に呼んだこと、かな?
「…綺麗で、楽しかった…ありがとう」
「…そっか」
どんな表情、してるんだろう。
暗いのと、南雲くんの後ろを歩いているのとで、表情は分からない。
どうして私を、呼んでくれたのかな。
その答えが、好きだからって、単純な答えだったら良いのに。
そんなことは聞けない私は、黙って南雲くんの後ろを歩く。
ぽつりぽつりと光る街灯以外は真っ暗で、いつもだったら怖いはずなのに。
今日は、家に着かなければ良いのにと思った。