初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「ほら、早く書いて帰るよ」
私の手元のノートをトンと指差して、また文庫本に目を向ける。
そうだ、これ書いてたんだ。
慌ててノートを埋めながら、ふと、南雲くんと少し普通に喋れるようになったなぁ、なんて思う。
最初は会話という会話もなかったのに、今は少し話せるようになった。気がする。
「…あ、の、南雲くんは球技大会何出るの…?」
そういえば、聞いてなかった。
シャーペンを持つ手を少し止めて、尋ねる。
「サッカー。
サボるけどね」
なるほど、サッカー。
サボる、のか。
…サッカーやってるところ、ちょっと見てみたいかも。