初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
06.答えはまだ知りたくない
「ねえ、聞いた?
南雲くん、彼女できたって」
「え、それデマじゃないの?」
「なんか本当らしいよ」
うそー、なんて声が聞こえて、慌てて階段の陰に隠れた。
…いや、隠れる必要もないのかもしれないけど。
「だって南雲くんって女嫌いじゃなかった?」
「そう、だから彼女ってどんなすごい子なのかって思ったんだけどさー」
ごくり、と唾を飲んだのは私。
「すごい普通なの、まあ普通に可愛いんだけど…」
「えー、そういう趣味だったんだぁ」
じゃあ派手な子が告白しても振られるわけだね、なんて会話。
通り過ぎた二人の背中を見て、少し俯く。