初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
……やっぱり、そうだよね。
私と南雲くんじゃ釣り合わないよね。
分かってはいたけれど、やっぱり少しショックで。
「…北山さん」
「え…あ、南雲くん」
振り返れば、帰る支度をしてバッグを肩にかけた南雲くん。
「今日も保健室?」
「あ、うん」
「ふーん、じゃあ一緒に帰ろ」
さらりとそんな嬉しいことを言ってくれる南雲くんに、さっきまでのモヤモヤは少し晴れて。
一緒に保健室に向かうのも、少しだけ慣れてきた。
来室日誌を取り出して書いていると、いつも通り本を読む南雲くん。
「…いつも、何読んでるの?」
「ん…?」
本から目を離した南雲くんは、ブックカバーを外して本の表紙を見せてくれるけど。
……タイトルすら読めないかもしれない。
難しい漢字2文字のタイトルがまず読めなくて、とりあえず難しそうな本だということはわかった。
「そ、そうなんだ…」
「……北山さんは、本とか読むの?」
「えっ」
どうしよう、全然読まない!
けど、そんなこと言ったらバカって思われるかもしれない。
南雲くんは絶対、頭のいい女の子が好きだ。