初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「じゃ、じゃあ今度持ってくるね…!」
なんだか恥ずかしくなって、慌ててシャーペンを走らせる。
どうしよう、なんの小説を持って来ればいいんだろう。
って、そんなに迷うほど本を持ってないんだけど。
お気に入りの恋愛小説なら、いくつかある。
だけどそれが南雲くんの好みに合うかっていうと。
……合わないよなぁ。
甘い恋の話なんて、きっと南雲くんは興味がないだろう。
もっと文学的な小説も読んでおくんだった……。
なんて悩んでいると、ガラリと開いたドア。
入ってきたのは、保健室の先生。
先生は、放課後、私たち保健委員がいる間は休憩してることが多い。
怪我人とかが来た場合は、私たちが対応するか、先生を呼び戻すって感じだ。