初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。



「あれ、もしかして夕陽ちゃんの彼氏?」




伊織先輩の言葉に、ドキッと胸が鳴る。

ちらり、と南雲くんの方を伺えば、



「…そうですけど」



なんていつもの無表情で。



「えっ、本当に!?

そっかー、夕陽ちゃん彼氏できたのかぁ」




うんうん、と頷く伊織先輩に、なぜかいつもより険しい気がする南雲くんの視線。



「寂しいけどおめでとう」


そう言って笑ってくれる伊織先輩に、笑い返した。




「皆どうしてるかなと思って、ちょっと寄ってみたんだけど…

お邪魔してごめんね」


「久しぶりに会えて良かったです」


「ん、俺も夕陽ちゃんに会えて嬉しいよ」




陽だまりみたいな優しくて、暖かいその笑顔には、ふわりとした淡い茶色の髪がよく似合う。


茶髪だからと言ってチャラチャラした印象もなくて、なんていうか、爽やかな人だ。




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