labyrinth



特別何かをされたわけではない。


ただ、ひどく羨ましかった。


彼に嫌われる理由などないことは
自分が1番分かっていた。



野球部を思わせる坊主に
よく映える笑顔。


その笑顔は見た人を幸せにさせる。


彼の周りにはいつも不思議と
人がたくさんいた。



クラスの中で
人気者キャラでも陰キャラでも
どっちでもなかった
中途半端なあたしにとって
彼は眩しすぎた。


大勢の人と上手く話せないあたしには
そんな彼を毛嫌いする他なかった。



彼の雰囲気に
飲み込まれてはいけなかった。




< 7 / 72 >

この作品をシェア

pagetop