labyrinth
特別何かをされたわけではない。
ただ、ひどく羨ましかった。
彼に嫌われる理由などないことは
自分が1番分かっていた。
野球部を思わせる坊主に
よく映える笑顔。
その笑顔は見た人を幸せにさせる。
彼の周りにはいつも不思議と
人がたくさんいた。
クラスの中で
人気者キャラでも陰キャラでも
どっちでもなかった
中途半端なあたしにとって
彼は眩しすぎた。
大勢の人と上手く話せないあたしには
そんな彼を毛嫌いする他なかった。
彼の雰囲気に
飲み込まれてはいけなかった。