真琴と『ぼく』の恋愛日記

【翔太の日記】

-4月20日-
今日、大嫌いな化学の実験の帰りに、森田さんを見掛けて、声をかけた。
あの日森田さんに男らしくないと言われてから、髪型を変えたり、話し方を変えたりしてみた。
でも、彼女はすぐ僕の異変に気付いて、前のままでいい…と言ってきた。
僕は、彼女ほど賢くないから、この前言われた事が全く理解できてなかった。
見た目じゃなく、内面を…という事を。

そして、急に屋上へ行こうと言われて、パンを買いに行ってくれた。

突然の事に、僕の鼓動は早くなる一方。心臓がやかましく全身で脈を打っている。

2人で話せる…という嬉しさと、2人きり…という緊張。
周りの人に悟られないよう、足早に屋上へと向かった。

僕の頭上では、僕の緊張やドキドキを知らんふりするかのように、真っ青な空の中で雲が気持よさそうに泳いでいる。

なんで、急に僕なんかを誘ってきたんだろう…。

もしかして、僕の気持ちバレちゃったのかな!?

だったら、絶対フラれちゃうなぁ…。

あんな、キレイな人が僕なんか相手してくれてる事自体、奇跡だよ…。

こんな風にいろんな思いを巡らせながら、彼女が来るのを静かに待っていた。

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