スカーレットブルー
小さな反抗期。
なんてものじゃないが、この男の元に生まれたせいで、どれだけの苦労をしたことか……。
スカーレットの冷めた目に何も言えなくなってしまった王は、観念したように頭を垂れた。
しかし、すぐに気を取り直したのか、ポンッと掌を拳で叩いて、王は苦笑いした。
「……そろそろ、本題に移ろうかの!」
(あっ、逃げた)
無理矢理に気を取り直した王の言葉に、スカーレットは前髪を押さえて、腰に手を当てながら溜め息を吐いた。
「もう一度問うが、本当に何も聞かされておらんのじゃな?」
「知らないってば」
王の問いにかぶりを振ったスカーレットに対し、王は目をつぶった。
「では、率直に言わせてもらおうかの……」
少し淋しそうな表情を見せた王は、それでも力強くスカーレットを見据えると、大きく息を吸った。
「主に、【魔王の討伐を───」
「嫌です!」
「……………………」
王の言葉を大声で遮ったスカーレットは、鼻を鳴らして目を逸らす。
「今の見せ場じゃったのに……」
「そりゃあ御愁傷様で」
大きくわざとらしく落ち込む王に呆れながら、スカーレットは腰に携えた細身の剣の柄に腕を置いて、足を組んだ。