スカーレットブルー
「……まぁ良い。これはサンバライト王国第12代目、我アルト=サンバライトの絶対命令じゃからな!」
「あっ!汚いじゃない!」
威張る王の言葉に反論するスカーレットだったが、さすがの彼女にも、これには逆らえないものがあった。
【絶対命令】とは、サンバライト王国の最高権力者による絶対の決定権であり、これに逆らう者は誰であろうと打ち首にされてしまうという……。
「どうじゃスカーレット!わしは誰よりも偉いのじゃよ!」
「お前はどっかの悪大臣かっての!」
権力では決して敵わないスカーレットは、苦味潰した顔で怒ったが、王は高見で笑い続ける。
それが余計に腹立たしく、スカーレットは胸に付けられたエンブレムを勢いよく王に投げつけた。
「……んごっ!?」
運が悪いことに、それが見事に命中したのだから、スカーレットは笑ってしまった。
だが、すぐに我に返って怒りを露にする。
「何でわざわざ私が魔王を倒しに行かなくちゃならない訳!」
「そ、それにはな、深い訳があってだなぁ……まだ言うことは出来んが」
スカーレットの訴えに、王は額に命中したエンブレムを弄りながら、ばつが悪そうに目を見開いた反らした。