桜の魔法
電車を降りて再び歩く。
雨もさっきより大分マシになった。
まぁ、まだ降ってるけどね。
「大分マシになってよかったぁー。
もうこれだけ濡れてたら、ちょっとくらい平気になるね。」
へへっと笑ってみせた。
正直のところ、ものすごく寒い。
いくら暖かいこの時期でも、夕方となれば別。
でも、羽琉も同じだけ濡れてるし運が悪かったんだ。
「花奏。…別に嘘つかなくていいから。
寒いだろ、震えてる。」
そう言って私の手を取る羽琉。
あぁ、私震えてた?
気づかなかった。
「羽琉の手、あったかい。」