コイウタ

ほんの小さな


「そうそう、いい感じ」

「はい」


正式に入部届が通って、
私達は放課後の練習を始めていた。

「結衣ちゃん上手いじゃん」

「そうですか?」

「ん。初心者にしては飲み込み早いし」

「あ、有難うございます」


凌先輩は、
私のことをよく褒めてくれる。
そのおかげで、私の顔は緩みっぱなし。その上、
私に付きっきりで教えてくれてる。

「あの、凌先輩」

「ん?」

「いいんですか?あたしばっかり」

「全然!初心者優先だから」


そう。

軽音部には
男女合わせて4人入部したわけだけど、
私以外の3人は経験者だから、
去年の文化祭の曲を練習してるんだ。
だから私だけ基本練習。

柄にもなく、初心者で
良かったなーなんて思った。
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