華は儚し
―――
燃え盛る炎で意識が揺らぎ始めた。
仲間が逃げていく炎の中へ飛び込み、
中の井戸にて水を被った。
愛する人の行方を見つけなくては。
まだどこにも桐里が見つかってはいないのだ。
運良く逃げているなら、
戻ってもよかったが、
俺を呼んでくれる桐里の声が届いてしまうのだ。
「桐里!!」
呼んでは、負けてしまいそうになった。
黒い煙は上へ上へと昇り、
桐里の部屋についてみれば彼女の簪が
物置の傍にあったのが不幸中の幸いだと、
俺の手がかりになってくれたのだ。
に願ったのだ。