華は儚し
「お初にお目に掛かります、
霧里でございます」
「あ…ああ…」
白梅の着物がよく似合う娘は澄んだ目をしていた。
まだ触れられなかっただけある。
「…秋良様は、宗十郎様の言うように
従いなさいと申しておりましたので、」
酒の席に誘われた自分は太夫を魅入るばかりだった。
「あんたは、客の相手をしたことがないそうで」
「はい…。宗十郎様は初めてのお座敷でございます」
ぎこちない空気を感じているのは俺一人だろう。
酌して、さりげなく微笑んでいた太夫を見た。