華は儚し
歩いてはまた歩く。
夜は宿場に落ち着いて、
たくさんのお話を聞かせてくれました。
宗十郎様の星霜や町ではやりの物語など、
私の知らないことがたくさんある中で、
大きなものとなったのです。
「初めて…お宿に泊まったりするのは、
緊張しますね。
…宗十郎様、あの刀を腰に常備してある男性は…、」
「あれは、侍だ。目を合わすな」
「物騒な方々なのですか?」
「…ああ」
背筋がぞっとして、
鳥肌が立ってしまいました。
それを見かねた宗十郎様は寄り添う私の腰を寄せて、
綺麗な顔で按ずるように促したのです。