華は儚し
第八華 旅
―――
辛い旅という苦難が苦と感じないのは、
お前がいるからだろうな。
過ごしていく途中で桐里が優しくて、
好きになる感情が大きくなるばかりだ。
「…ここだ」
九日という時間をかけて辿り着いた江戸は、
都会の中の都会と言ったところか。
「宗十郎様は江戸に訪れたことがあるのですか?」
「いいや、だから…お前と同じだ」
「…そ、その…」