華は儚し
一時の夢が、
今夜だけだなんて、不愉快で…。
「太夫、愉しませてはくれないか」
「え…、な、何を…」
「遊女らしくお座敷遊びより、
愉しませろと言っている」
「…あ…」
挙動不審の女が赤く染まる。
色欲は俺を支配し始めて、布団に太夫を敷く。
勿論女は怖がって抵抗するが、
客であることを言えば手の力が弱まったんだ。
「…動くな。主人を呼んでしまってもいいのか」
女の武器、涙を流しながら霧里が俺の源氏名を甘い声で呼び続けた。