華は儚し
他人ごとに感じられませんでした。
私は少々親近感がわいてしまい、微笑むのだ。
「…愛らしいな、
世に笑いかけてくれる娘は初めて見た」
「す、すみません…私…世間知らずで…」
「世は吉宗。
そなたは明るい光のようだ」
「そう言ってくださるのはとても嬉しいです。
吉宗さまこそ、素敵ですよ。
何故なら…私の寂しい心を分かって下さるのですから」
「…ああ、
町に戻りたいなら世についてこればよい」
郭の外の世界が自分を迎い入れてくれるように
思わせられるのです。
吉宗さまは不思議な人ではありますが、
雰囲気から素晴らしい地位にいらっしゃる人なのではないかと。
「……あの吉宗さま…、」
その地位で、
彼女が救われるのではないかと思いました。
「頼みがあるのでございます」