華は儚し

―――



江戸という町は

にぎわっているように見えるのですが、

知らないことが多ければ多い分、

困ってしまいます。


「ここでただ暮らすだけではない。

私は桐島様の紹介で江戸の歌舞伎座で働くことになっている。

それから…

江戸でここにいるとき以外は

話しかけるのを避けてくれ」


「どうして…宗十郎様といたいのです…」


「私も桐里といたいから、

金を稼がなくてはならないのだ」


「…なら、私は何をすればよいのですか…。

宗十郎様をお手伝いできないのですか?」


足手まといで、

邪魔だと思われても心に決めた男性の

手でも指でも代わりになりたいです。
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