華は儚し

「病気でお亡くなりになったお母様は、

色茶屋の太夫で役者のお父様と

駆け落ちをした時の、赤子が私です。

けれど…

遊女と役者が結ばれることはもちろん、

主人はお母様を愛して

監禁をしていたぐらいですから、

許すわけがないのですよ」


一度だけでもお母様に会いたいと。


「…主人に私を取り上げられたお父様とお母様。

私はずっと遊郭の奥の太夫の部屋で、

それもお母様がいたところで育ったのです」


「辛いな…」


「お父様は歌舞伎座の長です。

それも代々の跡取りで…

知り合った人と恋をしているのです」


真っ赤になるところ、

素直に話そうとする姿勢、

世は桐里が何が何でも欲しくなった、

将軍がすることじゃないのにな。
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