華は儚し

「…吉宗様っ」

「桐里は世が守ってみせるぞ。

裏切ったりはしない、絶対に」


秋良様の言う通りでした。


誰も私を受け入れてくれるわけがないのです。


“知らぬ。

あの売女など、汚らわしい。

早くに病気にかかって死ぬだけだ”


望まれない命だから、

私が生まれたせいで

お母様は死んでしまった。


「何をする!」


「私は宗十郎様なしでは生きられないのです…。

だから…契りを交わしたあの人との約束、

あの人が私を必要と無くなったら

死ななくてはいけないのです」


橋の上に立ち、川を見つめました。


瞼が腫れ上がって

自分ではないくらいに泣いたのでしょう。
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