華は儚し
第一華 恋を知らない花魁
「葵屋の人たちは、街を教えてくれないのです。
宗十郎様は教えてくださるから…、
とても楽しいのです」
柔らかい笑みを言葉に付け足しするみたいで、
不意に笑ってしまえば、
「お、おもしろい話でしたか?」
「いや別に…」
花魁というよりも、妹だ。
もし客をとることになれば他の店からも来るだろうな。
「霧里は美しい、何故客をとらない」
「…私は本当は生まれてはならなかったからです」