華は儚し


―――



「本当に良いのか、

最後の別れをせず」


今思い出すだけで涙があふれて、

いただいたばかりの着物が

汚れてしまうかもしれないです。


「…はい」

「桐里は自信を追い詰めすぎだ。

最後の別れぐらいして、

その役者にこれからのことを話せ」



「……わかりました」


会おうとは思えませんでした。

嫌いって言われても

私は永遠に愛していますから、

また死を選択してしまうのです。


将軍様の告白に逆らえないから、

私は契りを守ります。


上手く決別できるなら大奥で生活をするでしょう。
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