華は儚し

「…行くぞ」


頷く私に、

困った娘じゃ、

と両手を握って、安心しろという。


ただもう少しだけ、

郭の外の世界にいたいと思いました。


「桐島、

開園まで時間がある。

辺りを散策したらどうだ」


ただ私は皆さまがいるところについて行ったり、

きっと一人でいると不安になってしまうから。


けれどひとつ目につくものを見つけました。


「これは、何ですか?」


店の人に聞いてみたのです。

筒状の綺麗な和紙がはられた美しいものを

欲しいとおもいました。


「子供がよく遊んでる物だよ、

こうやって目を細めてみてごらん」


鏡が貼られています、

その奥を覗いてみると光るものが美しく、

回転させてみると

それは真新しい図をしめすのです。
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