華は儚し
第十二華
万華鏡を覗くのをやめて、
気付くと皆さまはいなくなっていて、
道に迷ってしまったのです。
くるくる回り辺りを見渡しても、
さっぱりで諦めようと思った矢先のことでした。
「今日も見るのかい?」
「ええ」
丁度目の前に宗十郎様が
綺麗な女性と共に歩かれており、
それだけではなくここにいた女性たちの目を奪うのです。
何だか、宗十郎様らしく見えて…。
自由を奪ってしまった私だと
後になって分かってきました。
懐に大事にしまってある詰草が
むなしく四葉で、
はげしく辛い感傷に浸ってしまうのです。
彼らが行く道は劇場なのでしょう。
だって今からの歌舞伎墓彼が演じるのですから。