華は儚し
第十三華
―――
「何をしている!」
菊乃丞が現れて止められたわけだが、
桐里が何を考えているか分からなかった。
単純だからこそ、分からない。
「桐里様に何をしているか、
と聞いているんだ」
「ひたすらに…抱きしめた…」
完全に嫌われたと思う。
「…宗十郎様は、
“今さら”と言いました、
それは私にも言えることです」
数度心が揺れるのは、
ずっとそう思っていたいからだった。