華は儚し

「私…宗十郎様とお父様がいるところに

戻りたいです」


「…まだ帰られない。

秋良が目を光らせているかもしれない」


それは最大の決断だった。


「菊乃丞、桐島様にお伝えしろ。

桐里と駆け落ちをすると」


「…わかった」


「いつか、桐島園に戻るだろう」


ひっそり息をひそめるような暮らしはどこまで続くか。


「…桐里、

私とついてきてほしい」


「ええ、どこまでもついていきます」
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