華は儚し

―――



宗十郎様はご無事で

いらっしゃるのかわかりません。


狭く暗いところからでは

安否など知りませんけれども、

きっとご無事でいると信じたいのです。


「っそ、宗十郎さま…!」


どうして私はこんなにも不運なのですか、

いえ、私は生まれてはいけない存在だったと

理由付けするべきかもしれません。


「そこから出たいか、桐里」


「…えじま…さま…」


「吉宗様がお呼びだ、

そこの夜伽の着物に着替えよ」


白く積み重ねてある着物は

自分の所有者がだれなのかを

知らしめるものでした。
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