華は儚し

「…生きてくれ桐里。

お前が苦しむのは、

私もつらいのだ」

「辛いに決まっています、

宗十郎様がいないと

生きていけないんです」


「お前の笑顔は私の希望だ。

その希望を絶やさないでくれないか」



「っ……はい」


私は宗十郎様のために一生懸命笑顔を作り、

最後の別れを告げました。


こんなに大勢がいますが、

別れの接吻を交わして

包帯を巻いた小指をつなぎ、


「…貴方様のそばにいられなくても、

永久の愛を誓います」


「桐里が幸せでいられるように

四六時中祈り続ける」


二人はお互いの顔が

見られなくなるまで涙を我慢したのです。


此処で泣いてしまえば別れられないから、

最後でなくなってしまいます。
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