華は儚し

生唾を飲み込んで、

吉宗様と目を合わし優しく首筋に

唇が這われていく感覚がしました。


「ぁ…」



こぼれてしまう声が、

四方にいる方々に聞かれてしまうことが

とてつもなく恥ずかしく、

口をふさごうと思うのですが、


「世の名を呼べ、声を我慢するな」


「…よしむねさま…、んっだめ…」


「…かわいいな、お前は」


目を瞑り、

想像をしたのです。


今私は宗十郎様と

夜を愛し合っているのです。
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