華は儚し

―――



「桐里、

起きなさい」


「絵島さま…、

どうしてここに」


いつのまにか寝てしまっていた私を

起こしなさったその方は

檻の中にいたのです。


「…この手紙を読みなさい」


「私は文字が読めないです。

自分の文字も、

宗十郎様に教えてもらっただけですので」


「まったくか?」


「全くです」
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