華は儚し

「…仕方ない。

戻るとするか、

その手紙は桐里に渡そう。

お前の思う男から届いたものだ」


それを聞いた瞬間に

また一つ生きる希望が出来たのでした。


筆で書かれた文字の初め、

桐里、そう書かれておりました。

私あてであると、

かかれている内容は分かりませんが、

どんな内容であろうと嬉しいのです。


「んん…

今夜は吉宗様は仕事がある。

九つ(深夜の0時)に牢を超えれば

差出人が蔵にて会えるかもしれない…」


絵島様が

独り言を言っているように見えましたが

喜びのあまり絵島様に

抱きついてしまったのです。


「こら、その格好でいるつもりか」


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