華は儚し

おそらく、彼は無意識でしょう。

目を細めて口を隠し笑った宗十郎様が、私の頭をなでて、


「今の時刻が夜の時は、日が傾いて暗くなる」



男性ものの大きな羽織を私に、



「これで寒くはないだろう」



何故か、自分の身が温かくなったのは


寒さを防いだおかげでしょうか。


けれど、何か違った気もするのです。



「…宗十郎様」


「なんだ」


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