華は儚し
第十五華 花魁のあるべき姿
―――
「済まない、
悪いが…もう時間だ」
貴方様に抱かれる手を放したくないのです。
けれど、
放さなくてはならない定めを受け入れないと、
「…はい…っ」
貴方様のみを案じることが
出来なくなってしまうからでした。
「これを…、お前に」
宗十郎様が女性ものの簪を私の髪に挿して、
「綺麗だ…」
梅の花が描かれているのであって、
美しげな飾り物でした。