華は儚し


「この顔だからさ、

散々抱かれた挙句、

捨てられちまうんだよ」


「…ご病気にかかられて…」


「お前は何人に抱かれた」


返答できない私に、

つらく当たったように見えたのです。


「私はっ、

幕府の連中に

自由を渡してくれなかった!!」


「…どこの生まれですか」

「八百屋の娘さ…、

上の女中のように

公家の娘でも大名の娘でもない。

身分の違いで、

逃げられず死を待つのみさ」
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