華は儚し
第二華 郭の外と世界
―――
俺の手を握る愛しい霧里は涙ぐみながら、
行かないで、と言いたかった気がした。
「大丈夫だ」
置かれた人形は遠くを眺めながら、
放っては置けないこの感情を処理できず、
恋にうつつを抜かしている暇などないというのに。
「どうした菊乃丞」
「昨日の葵屋はどうした」
「ああ、太夫か…。太夫ならそこにいる」
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