華は儚し
第六華 絶対の誓い

「桐島様の御嬢さんが

部屋から出てこないそうだ」


役者の一人の男が

菊乃丞が不在なのを見越して俺に告げた。


「菊乃丞は桐島様のお相手をしている、

晩の食事に御嬢さんを用意しなければ

相当に怒られるぞ」


と、言われたばかりで

最上の階の部屋まで会談で上がるに、

途中で会うことが出来ないのだと気づく。


急に桐島園に住まうなどと…。


俺が嘘をついていることを許せないのは?

桐里様は許して俺を喜ばせるだけで終わる、

それが嫌だった。


「桐里様、宗十郎でございます」


戸を開けるつもりがないらしく、

居留守をしているようだ。


「桐島様がお見えになる頃です。

下にお降り出来ますか」


やはり、

温厚すぎた桐里様でも怒ることはあるか。
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