君のいた冬
@1
「あぁー、寒い。」
学校へ登下校する道は雪が積もり辺りの景色は真っ白になっていた。

そんな中、ぽつりと愚痴を言うように呟いたのは俺の彼女である真央だ。

「ね、聞いてる?」


「あ、あぁ聞いてる……かな?一応ね。」

俺はほとんど真央の話を聞いていなかったので真央が何を言っていたのか分からない。

それどころか、“寒い”と言ってたことしか認識できていなかった。

「もー、いつもそうだよね!!ちょっとは私の話くらい聞いてくれても良いと思うんだけど?これでも一応彼女なんだから。」

真央はそう言うと俯いてしまった。

「あー、その、ごめんな。」

いつもの事だが俺が謝る。そうすると真央は笑顔で許してくれるのだった。もちろん、今日とて例外ではない。

「ん、しょーがないから許してあげよう!!」


「あざーっす」

ちょっとわがままな時もあるし、めんどくさかったりするときもあるけどそれでも真央は大切な彼女であり好きな人でもあるので逆らえない。

真央って女王様気質だな……



「何?私の顔に何かついてる?」

「いやー、何も付いて無いです。」

「そ、なら良いんだけど。つか、そんなにガン見しないでくれる?は、恥ずかしいでしょ」

「うん、ごめん。」

ガン見するなとは言われたものの好きな子なんだから見たくなる。こんなに近くにいるのに手も繋がせてくれないとか鬼畜!……とまではいかないがいささかいい気分ではないよな。手ぐらい繋がせろーーー。

「ゲホッゲホッ……」

「大丈夫か?咳止まらない?」

俺は真央の背中を擦りながらそう語りかける。

そうすると少し辛そうではあったが、大丈夫と言ってくれた。大丈夫と言われても辛そうなので、早めに学校に行って保健室に連れていきたい。

ここから学校までの距離は約500メートル位だろうか。それくらいなら、走れそうだ。


「真央、暴れるなよ?落とさないから!」


「えっ?ゲホッ……」


「よいしょっと。行くぞ!」


俺は真央にお姫様だっこと言うものをして学校までの距離を走った。







「っはぁ、走ったー。」

「そんなに大袈裟にならなくても大丈夫なのに」

呆れてるのか、怒っているのか……よく分からない表情で文句を言う真央。


彼女が大変なときに助けない彼氏はいないだろ。
つーか、お姫様だっこって彼女にやると好感度?みたいなのが上がるって友達に聞いたことあった気がしたのにな。あれは嘘だったのか……


「いや、だって普通はあんなに咳が出てたら心配するだろ。」

「それでも、今日のは度が過ぎてるよ!」

「もー、はいはい。口喧嘩をしないの。授業始まるわよ?」

と保健の先生。
保健の先生に咳止めの薬を貰い、真央の咳は落ち着いたのだった。


「やっべー!!行くぞ、真央!」

「えっ、うん!じゃ、先生ありがとうございました!」

大慌てで走るのとは真逆に心の中では、最初の授業なんだったっけ?とか思いながら教室までの廊下を走った。
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