イケナイ狼君の××。
「2人とも?
ひかりちゃんはここまで歩いて来たんだよー?」
「「ば、バンビ先輩!」」
ば、バンビ!?
バンビというあだ名のような名前の人が、私を見てすごくニコニコしていた。
眩しい…!
リアル王子様みたい!
ってなに考えてるの私!
「歩いて来たってことは、どういうことか2人ならわかるよね?」
「…あ!」
「お疲れですよねひかり先輩!
気づけずすみません…」
「い、いいの!
確かに疲れてたけど気にしないで?」
相変わらずずっとニコニコしているバンビさん。
逆にその顔の奥にすごい威圧感を感じた。
「よくできました2人とも!
それじゃあ庭園まで案内してあげな?」
「「はい!」」
「……」
なんか怖いなぁさっきから…
幸村と聖がまるでしつけされてるように見える…
「ひかりちゃん、また後でね?」
「へ!?は、はい…」
バンビさんはニコニコしたまま、手を振って2階へ行ってしまった。
「ねぇ幸村聖…
あの人は誰?」
「あの人は田名加鹿…ゲフン!」
「?」
しか…?
「バンビ先輩っすよ!
生徒会の副会長っす!」
「へぇ…副会長さんかぁ…
って、バンビって本名なの!?」
「いや!違うと言えば違うし…
違わないと言えば違わないですね…」
「だな…」
よくわからない…
気にしないでおこう…
仁の言った通り、出会って数分で変な人達ばかりに会ってる気がした。
「とりあえずお茶にしましょう!
ご案内します!」
「うん!」
エスコートしてくれる2人に素直に甘えて案内してもらった。
-庭園-
「ここが庭園です!」
「すごーい…!」
2人に案内された庭園はすごく広くて、まるで夢の世界にいるような空間だった。
綺麗な花がいっぱい咲いていて、噴水もあって、奥にビニールハウスもあった。
「あそこのイスに座ってお待ちください!」
指定されたイスへと座る。
すごい…!
テーブルからイスから何から全部豪華だ…!
これほんとに夢じゃないよね!?
「どうぞ先輩!」
「ありがとう!」
聖が紅茶とシフォンケーキを持ってきてくれた。
いい匂い…!
「これ聖が淹れてくれたの?」
「まさか!幸村っすよ!
ちなみにシフォンケーキも幸村特製です♪」
「すごい!」
見た目はすごくプロが作ったような見た目。
ここに来てから感動することばかりだ。
「んー!おいしいー!」
「お口に合ってよかったです!」
満面の笑みな幸村を見て、私もつられて笑った。
おいしすぎるー!
私こんなに幸せでいいのかなー!
「幸村ってお菓子作るのうまいんだねー!
今度私に教えて!」
「もちろんですよ!
ここにはキッチンもあるので、時間がある時はいつでも!」
「キッチン!?」
「それも後で案内するっすよ!」
謎が謎を呼ぶってこういうことを言うのかも…
その後も3人でたくさん雑談をした。
2人の話はすごくおもしろくて、時間を忘れるくらいだった。
「そういえば幸村に聖ー。
さっき私が仁にタメ口だったのに驚いてたよね?」
「あ、はい!」
「そーっすねー!」
「なんで驚いてたの?
私仁と同い年だからタメ口なんて普通だよー!」
「「えぇぇぇえええ!!?」」
えぇぇぇぇえええ!?
また驚かれた!?
「冗談キツいっすよ先輩!」
「そうですよひかり先輩!」
「えぇ!?事実なんだけどなぁ…」
私ってそんなに子供っぽい…?
「じゃあ僕達の聞き間違え…?
ひかり先輩が嘘ついてるようには思えませんし…」
「念のため聞くけど、ひかり先輩って2年?」
「うん、そうだよ?」
「やっぱ間違ってないっすよ!」
えぇ!?どういうこと!?
全然意味わからない!
「仁も2年生だよね!?」
「またまたご冗談を!」
「ひかり先輩って意外とボケるの好きなんすね!」
いやいやいや!
ボケてないボケてない!
「仁先輩は3年生ですよ!」
「そーっすよひかり先輩!」
「へ…」
今3年生って言った…?
仁は私に同い年って言ってた…
…嘘つかれてたってこと?
「私仁からは同い年って聞いてたけど…」
「えぇ!?」
「マジっすか!?
なんのために仁先輩嘘ついたりしたんすかね…」
私が聞きたい!
なんでなんだろう…
「でも一つだけ言えるのは、仁先輩って他人に厳しい人なんですよ。
だから年下の人にタメ口使わせるなんてこと一切なかったんです」
「そうなの!?」
「だから俺ら驚いてたんすよ。
一瞬耳を疑ったし!」
さらに分からなくなってきた…
仁はなにを考えてるんだろう。
もしかして私がしもべだから?
しもべじゃないけど!でもしもべなら尚更タメ口なんてダメなはず。